「なぜ」で覚える英文法

英文法を「忘れないように覚える」ことを第一に考えたブログです。        受験に必要な文法事項を、丸暗記ではなく「理由を知る→知識がつながる→覚えられる」となるよう解説します。

前置詞

giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由(第4文型①)


 giveやbuyは、動詞の後ろに目的語2つ付けて第4文型(SVOO)を作る動詞です。
 まずは第4文型を作る動詞の共通点について説明します。


◆SVOOを作る動詞

SVOO(主語+動詞+人+物)の第4文型を作れる動詞には、
 ①「人に物を所有させるようVする」
 
②「人が所有する物をVする」
 
という共通点があります。

(①人に物を所有させて、その後で②人が所有する物に働きかけるイメージ。)


give40

 
①「人に物を所有させるようVする」タイプ

たとえば↓の動詞です。

 give人物(人に物を与える)…人に物を所有させるよう与える。
 buy人物(人に物を買う)…人に物を所有させるよう買う。
 show人物(人に物を見せる)…人に見た記憶を所有させるよう見せる。
 teach人物(人に物を教える)…人に知識を所有させるように教える。


give24


そして、①「人に物を所有させるようVする」動詞の共通点は、「Ⅴ物to人」もしくは「Ⅴ物for人」に書き換えられるということです。
 これらの動詞では、「物」の移動先(対象)が「人」となるため、対象を表すtoやforを使ってto人、for人という書き換えができます




・「Ⅴ物to人」タイプ(giveなど)

give10

 「V 物to人」に書き換えられる動詞の共通点は、「相手が絶対に必要な動作」です。

 give(与える)もshow(見せる)もteach(教える)も、いずれも常に相手がいない出来ない動作ですよね。


give29

※deny「与えない」がto人に書き換えられる理由は、not+give「与える」と同じだからだと考えるとよいです。


 

・「Ⅴ物for人」タイプ(buyなど)

give11

 「V 物for人」に書き換えられる動詞の共通点は、「相手が必ずしも必要ない動作」です。

 buy(買う)もmake(作る)もget(手に入れる)も、いずれも相手がいない状態で自分のためにも行える動作です。

give41


 いったん整理すると↓


give37




◆giveはto人、buyはfor人になる理由

(1)toとforの違い
 toは明確な到達点を表します。例えば、go to Londonなら、「ロンドンに行く」で、今いる場所とLondonが直接つながっているイメージです。そこから「~に→~に対して」という直接的な対象の意味に派生しました。

 

一方、forは方向を表します。go for Londonなら、「ロンドンの方向へ行く」で、必ずしもロンドンに行くわけではなく、単にロンドンのある方角に向かって行くイメージです。forも「~の方向へ→~に対して」という対象の意味に派生しましたが、forの「方向」はtoの「到達点」より曖昧な意味なので、toより間接的な対象を表します


give7


(2)give型が「to 人」、buy型が「for 人」になる理由

give型の動詞は「相手が絶対に必要な動作」なので、この動詞を使うときは動作の相手を常に意識しています。そのため、動作の対象を直接的に表すtoを使います。

 

 buy型の動詞は「相手が必ずしも必要ない動作」なので、必要なら動作の相手を付け足す感じです。そのため、buy型の動詞が使われるときは、動作の対象がtoほどには意識されていないため、間接的に対象を表すforを使います。わざわざ動作の相手を示すので、「その人の(利益の)ためにする」という感じが出ます。

 

 

 

②「人が所有する物をVする」タイプ

  「Ⅴ人物」の動詞のうち、「Ⅴ物to人」「Ⅴ物for人」に書き換えられない動詞には、「人が所有する物をVする」という共通点があります。
 これらの動詞では「物」は既に人によって所有されていて、「人」は「物」の移動先(対象)とはならないため、対象を表すtoやforを使ってto人、for人という形に書き換えることができません。

 ただし、こうした動詞はちょっとだけです。

give42


 

cost人物(人に物を消費させる)

 …その人が所有しているお金などを消費させる

 

 This hat cost me $10.

 この帽子は10ドルでした。

 (この帽子は私に所有しているお金のうち10$を消費させた)

 

 One mistake cost him much time.

 一つの過ちが彼に多くの時間をかけさせた。

 (一つの過ちが彼が所有している時間のうちたくさんの時間を消費させた)



charge人物(人に物を請求する)

 …その人が所有している債務(支払わなければならない代金)などを請求する。

 

 The hotel charged him $100 for the room.

 ホテルは彼に部屋代として100ドルを請求した。

 (ホテルは彼に泊まったことにより所有していた100ドルを支払う義務(債務)を請求した)


give31



●SVOOを作る動詞のまとめ

give39



⇒次回は、逆に第4文型を作れない動詞についてです。
 explain、introduce、suggestで第4文型を作れない理由



★Check★

(1)【誤りの箇所を指摘し訂正せよ。誤りがない場合は⑤を選べ】
I'm going ①to cook eggs for breakfast ②to everyone.
Would you like ③yours ④scrambled or fried?
⑤NO ERROR.

【早稲田大】


(2)The accident almost (       ) him his life.
【中央大】

 ① cost
 ② robbed
 ③ lost
 ④ deprived


(3)A hat like this usually costs 2,000 yen, but they only (       ) me 500 yen for it at that store.
【芝浦工業大】

 ① charged
 ② shared
 ③ demanded
 ④ begged




★Answer★
(1) ②to → for
 みんなのために、私が朝食に卵を料理しましょう。スクランブルエッグがいいですか、それとも目玉焼きがいいですか?
(2) ①
 その事故で、彼はもう少しで命を失うところだった。
(3) ①
 こういった帽子はたいてい2000円はするが、あの店ではたった500円だった。


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byが[~によって]になる理由(受動態②)

 

◆be 過去分詞 by 人:人に~される

例 Hiroko is loved by everyone.

  ヒロコはみんなに愛されている。

 

 

 

●byは「そばに」

byのもともとの意味は「そばに」です。

受動態で「by+人」を使うと、「主語は~された、そのときそばに「人」がいた」となります。

そこから、byの後ろに置かれる「人」がその行為を行った犯人のように扱われ、「「人」によって」という意味になります。

 


 

●by「そばに」を使ったいくつかの表現

 

・stand by:~の味方をする

例 Doraemon always stands by me.

 ドラえもんはいつも私の味方になってくれる。

 

 stand(立つ) + by(そばに)

~のそばに立つ→~の味方をする

 

 

・little by little:少しずつ

 day by day:日に日に

 

 例 Japan's economy is recovering little by little.

 日本経済は少しずつ良くなってきている。

 

 little(少し) by(そばに) little(少し)

少しの固まり、そのそばに少し固まり

→少しずつ

 

 day(日) by(そばに) day(日)

1日の固まり、そのそばに1日の固まり

→1日単位で

→日に日に

 

 

・by:~までには

You must finish the work by 5 pm.

君はその仕事を午後5時までに終えなければならない。

 

 これは、「君はその仕事を終えなければいけない、そのそばに午後5時」が直接的な意味ですが、動作のそばに時間を設定することで、それを締切時間として表しています。

 

→「君はその仕事を終えなければいけない、そのそばに午後5時」

→「君はその仕事を終えなければいけない、午後5時までには」


 ほかにもbyを使う表現はたくさんありますが、いずれも「そばに」という意味から派生したものです。


⇒次は、受動態で使われる動詞
 感情の動詞・「傷つく」「生まれる」が受動態で表される理由 (受動態③)


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前置詞for が期間を表す理由 (現在完了②)


 ※このページは「現在完了に「完了」「経験」「継続」の意味がある理由 (現在完了①)」からの抜粋です。


 前置詞のforは、「for two days(2日間)」や「for ten years(10年間)」というように、forの後に時間を置くことで、継続期間を表すことができます。


例 I have lived in Tokyo for ten years.

私は東京に10年住んでいます。


  例 Bake the pie at 200° for 40 minutes.
      40
分間200度でパイを焼いてください。


 

【継続期間を表すfor】

 

 forはもともと単なる方向を表す前置詞です。

例えば、for Londonというと、Londonが目的地なのではなく、単に「Londonの方向」もっといえば「Londonの周辺」という意味です。

図でも点線で丸く囲ってありますが、その周辺である=その辺りという範囲を表すので、時間と使う場合には範囲「いつからいつまで」→「~間(○日間、○年間など)」を意味します。

 

 例 I have played baseball for two hours.

 今のところ2時間野球をしている。

 

現在完了5

 現在完了①のページが長くなってしまったので、ここだけ抜粋しました。



⇒次はbeen to と gone toの使い分け
been to「行ったことがある」、gone to「行ってしまった」になる理由 (現在完了③)



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ofに[所属][分離][同格]などの意味がある理由 (前置詞①)


 of は「~の」と最初は教わりますが、学習を進めていくにつれて「所属」という意味がある一方、真逆の「分離」という意味もあり、辞書などをみるとその他たくさんの意味もあるため理解が難しい前置詞です。
 この理由は、ofの歴史を見ていくとわかります。


◆of の歴史

of ~は、「~から離れて」が原義で、そこからoff(完全に離れた状態)が生まれました。

このofは、「A of B」で「Bから離れて」という意味を持っていたため、of BはAとの「分離」という意味がありました。また、Aと元々は同じ一つのものとして、Aの「起源」≒「所属先」という意味もありました。

ところが、イギリスは1066年からフランス語を話すノルマン人に占領された結果、英語もフランス語の影響を強く受けることになりました。

 その一つがフランス語のdeが英語のofに影響したというものです。
 deとは「属性」を表す言葉で、一体となっているものの説明的な事柄を表し、具体的には性質、中身、構成物、所属先、同格などを表します。
 一方、ofは「所属先」の意味があり、deと重なりますその結果、ofが「分離」「起源(所属先)」に加え、その他たくさんのdeが持っていた「属性」の意味も担うようになりました


ofの意味



◆of のイメージ

上記のような歴史からofはたくさんの意味をもつようになったんですが、実際にはofを見るたびに「所属」か「分離」かなんて考えていたら長文などは読めません。

個人的には、「A of B」を見たら、ofは「属性」で、A(直前の名詞)を明確化するのがof Bだと解釈しています。
 そして、「分離」のofは特定の熟語のときだけ使われると割り切って考えるといいと思います。

※属性=性質、中身、構成物、所属先など一体となっているものの説明的事柄を表す

ofのイメージ4

 例 flower of red
   flower(花)を明確化するのがof red(赤い)
  →赤い花



具体例をいくつか例を見てみましょう。

 

・属性

【起源】accuse him of carelessness
(不注意を起源に彼を責める→彼を不注意だと責める)
→accuse him(彼を責める)を明確化するのがof carelessness(不注意)

【所属先】top of the tower(塔のてっぺん)
→topを明確化するのがof tower

【性質】a man of courage(勇敢な男性)

→a manを明確化するのが of courage(勇敢さ)

【中身】a cup of coffee(カップ一杯のコーヒー)
→a cupを明確化するのがof coffee

【説明】the death of my mother(母の死)
→the deathを明確化するのがof my mother

【構成】The committee consists [is composed] of ten members.

(その委員会は10人のメンバーで構成されている。)
→The committee consists(その委員会は成り立つ)を明確化するのがof ten members

【同格】the city of Kobe(神戸市)
→the cityを明確化するのがof Kobe

 

・分離

rob/deprive/relieve 人 of  物(人から物を奪う)

 

※robの直後に「人」が置かれる理由
 robの語源は、bathrobe(バスローブ)のrobe(ローブ)です。
 つまり、衣類なんですが、robが使われ始めた13世紀は衣類が貴重な時代であり、人から衣類(robe)を奪い取る「追剥ぎ」という行為が行われていました。
 当然、衣類を奪う対象は人なので、rob+人で「人から奪う」という意味になり、robの直後には人が置かれるようになりました。



 このようにofは大きく「属性」と「分離」の意味に分けられます。
 よく一つのイメージで捉えようとする説明を目にしますが、実際に使う時には真逆の意味なので無理が生じます。
 使うことを考えるなら、原則は「属性」で役割は直前の名詞を明確化すること、一部の熟語では「分離」と割り切って考えたほうがいいでしょう。


⇒次は、as~as構文。
 比較① as 〔形容詞〕 as~が「~と同じくらい〔形容詞〕」になる理由


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自己紹介

kenny

しがないアラサー団体職員。
休みになれば寝てばかり、家事をすればいい加減なズボラ男です。
言葉の理解や記憶の構造に興味があって、大学院まで認知心理学をやっていました。
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