「なぜ」で覚える英文法

英文法を「忘れないように覚える」ことを第一に考えたブログです。        受験に必要な文法事項を、丸暗記ではなく「理由を知る→知識がつながる→覚えられる」となるよう解説します。

形容詞

可算名詞と不可算名詞を使い分ける理由 (形容詞③)


 物の名前(名詞)は大きく、リンゴや猫のように、だいたい同じ形で、1つ、2つと「数えられるもの(可算名詞)」と、水のように1つ、2つとは「数えられないもの(不可算名詞)」に分けられます。

 

一見すると、簡単に見分けが付きそうですが、数えられない名詞の中には「お金(money)」や「パン(bread)」など「え、これも数えられないの?」と思うようなものも含まれています。

 

実は、英文法で言う「数えられる名詞」とは、具体的な形が似ていて同じようなイメージで数えられるもの、逆に、「数えられない名詞」とは具体的な形が似ておらず、同じようなイメージでは数えられないものなのです。


猫

具体的な形が似ていないものというのは、それを具体的な形に変換するとそれぞれが全然違う!というもののことです。

例えば「お金(money)」は具体的な形の「紙幣」と「貨幣」じゃ全然似ていないですよね。

また、「水(water)」もどんな形にもなりうるので、似ている・似ていないのレベルを超えて具体的形は無限大です。

 

このように、数えられない名詞は似ていないレベルで、「①全然似ていない」、「②どんな形にもなれる」に分けることができます


 実際に、その一例を見て行きましょう。
2可算・不可算



①「具体的な形=全然似ていないもの」

お金(money)は具体的な形の「紙幣」と「貨幣」じゃ全然似ていないですよね。

家具(furniture)も、机、椅子、タンスなど具体的な形は全然似ていません。

同じように、情報(information)も助言(advice)も具体的な形は全然違うものの総称です。

仕事(work)なんかは具体的な形が「医者」、「教師」、「コンビニ店員」、「作家」など職業によって全然似ていません。

 

②「具体的な形=どんな形にもなれるもの」

似てないどころか、「ありとあらゆるどんな形で存在しても、それのことはそう呼ぶんだ!」というものです。例えば、液体なんかはスライムみたいにいくら切っても名前は変わらないですし、実際に紙やパンはどんな形の時でも紙やパンです。バターだってどんなに小さく切ってもバターです。

 

 

 でも、ここでまた疑問が生じます。
 
そもそも、なんで「数えられる名詞」と「数えられない名詞」にわける必要があるのでしょうか。

 

 この理由は、数えられる名詞と数えられない名詞では、その量がこれくらいあるよー!って話す時=数える時に、話し手の頭の中のイメージに違いがあるからです。

 図にするとわかりやすいです↓
一覧


数えられる名詞では、同じような形のものが増えたり減ったりして「多い」、「少ない」と言っています。

一方、数えられない名詞では、具体的形が違うので、いろんな形をごちゃ混ぜに一まとめにして「多い」、「少ない」と言っています。

このように数えられる名詞と数えられない名詞では量の「多い」「少ない」をいう時にイメージに違いがあるため、英語では数えられる名詞と数えられない名詞の量を表す形容詞において、使い分けをしています


量


例 There are a few books.

         数えられる名詞

   少しの本があります。

 

例 There is a little milk.

       数えられない名詞

    少しの牛乳があります。


 ちなみに、few ・ littleは「ほとんどない(極わずかにはあるけど「ない」に近い否定的イメージ)」で、a few ・ a littleは「少しだけ(aを付けられるくらいには「ある」という肯定的なイメージ)」です。
 someは「はっきりしない何かがある」が根本的なイメージなので、そこから「いくつか」という意味になります。つまり具体的形を問わずに「何かある」という感覚なので、数えられる名詞にも数えられない名詞にも使えます。

 【参考】形容詞① someとanyを使い分ける理由

 

また、数えられない名詞は、いろんな形を一まとめにして「多い」「少ない」と言っているので、「単数形」として扱われます

そのため、There is 構文などでは注意が必要です。

 

例 There is(×are) much water on the earth.

            数えられない名詞

    地球にはたくさんの水がある。
 


◆数えられない名詞の数え方 

このように、数えられない名詞は、「具体的な形が似ていないもの」だから、「a~」とか「two~」とかで数えようとすると、それを聞いている人は具体的形がどの状態かわからない!ってなります。

 

 例 bread ←スライスされたパン? 固形のパン?

 

そのため、数えられない名詞を数えるときは「具体的形はこれ!」と限定します。

具体的には、「 a 具体的形 of 数えられない名詞」という形にして数を表します。

 

a cup of coffee(カップ1杯のコーヒー)

a glass of milk(グラス1杯のミルク)

a slice of bread(パン1枚)←スライスされたパン

a piece of bread(パン1個)←小さいパン

a sheet of paper(紙1枚)←A4サイズとか大きい紙

a piece of paper(紙1枚)←レシートとか小さい紙

 

などなど

⇒次は、前置詞of。
 前置詞① of に「所属」「分離」「同格」などの意味がある理由


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something + 形容詞の語順になる理由 (形容詞②)

◆something + 形容詞の語順になる理由

何か~しいもの(例:何か冷たいもの)を英語で言うときは、somethingかanythingを用います。このとき、語順に注意が必要です。


語順:something +形容詞:何か~しいもの
     ※肯定文で用いる

 anything +形容詞:何か~しいもの
     ※否定文、疑問文で用いる


【参考】someが肯定文でanyが否定文・疑問文の理由は↓
     形容詞① someとanyを使い分ける理由
  


例 I want something cold to drink.

 私は飲むための冷たい何かが欲しい(冷たい飲み物が欲しい)

   I don’t have anything expensive.

 私は何も高価なものは持っていません。


 

形容詞は、日本語で考えても「美しい(形容詞)+花(名詞)」となるように、英語にしても形容詞+名詞の語順です。
 ただし、somethingの場合は「something(名詞)+形容詞」の順番になります。


 somethingは、もともとsome(いくつかの:形容詞)+thing(もの:名詞)で、「いくつかのもの→いくつか存在する何か→何か〇〇なもの」という意味になりました。つまり、someとthingで2つの単語だったんです。
 

一方、日常生活では、こわい女の人が宝石店で「何か買ってよー」と言ったり、夏にのどが渇いて「何か飲みたいなー」と言うなど、具体的に何とは言わない「何か●●なもの」という表現がよく使われます。
 その結果、someとthingはくっついていつしか1つの単語になりました。
 anythingの場合も同じです。
 

しかし、1つになってしまったために、形容詞を指定する場合に「some+形容詞+ thing」となるべきところ、「形容詞」の入る隙がなくなってしまいました。
 また、someは、aやtheと同じく数を示す限定詞なので、someより前に形容詞は置けません(形容詞を先にしてbeautiful a womanとは言わないですよね)。

そこで、やむを得ず「something+形容詞」の語順になりました。






⇒次は、可算名詞と不可算名詞の使い分け
 
形容詞③ 可算名詞と不可算名詞を使い分ける理由


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someとanyを使い分ける理由 (形容詞①)


・形容詞+名詞の語順

形容詞は姿のの略で、日本語で考えても「美しい(形容詞)+花(名詞)」となるように、順序は英語にしても形容詞+名詞の語順です。

 

例 「beautiful(形容詞) flower(名詞)」

 

 今回は、この形容詞のうち、someとanyについて説明します。

 

 

◆someとanyの違い

教科書的には、some「いくつか」を、否定文・疑問文に用いるときは代わりにanyを用いると言われます。

なぜsomeを否定文と疑問文で使えないのかは、someとanyの持つイメージに根本的な違いがあるからです。

 

some:イメージははっきりしないが何かある
 そのため、意味も「いくつかの」という意味になります。
 
最初から、「何かある(肯定)」ってイメージなので、否定文では使われません
 また、疑問文とは、それが有るのか無いのかを問うようなものであり、someのように「ある!」と答えがハッキリしている状況とは普通は相入れません。そのため疑問文でsomeは基本的に使いません。
 

例 There are some pictures on the table.
 テーブルに数枚の絵があります。



any
イメージはどれを選んでも

 anyはsomeのように「ある」とか「ない」というイメージはないので、肯定文でも、否定文でも、疑問文でも使うことができ、それに合わせて意味も変化します。
 ただし、意味が変化するとは言っても、any=「どれを選んでも」という意味だと知っていれば、「否定文だから、、、」といった覚え方をする必要はありません

any

肯定文でのany

肯定文ではどれを選んでも「○」という意味で、「どんな~(でも)」の意味になります。

 

例 Any person can do it

どんな人にでもできる。


否定文でのany

否定文では、どれを選んでも「×」という意味でnotと組み合わさって「一切ない」になります。
 someの「いくつか」という意味を否定すると「いくつもない=一切ない」という意味になるため、some「いくつか」を否定文にするときはanyを用います。

 例 There is not any picture on the table
   机には一切写真がありません。


疑問文でのany

疑問文では、「どれを選んでも」の疑問形として「どれか選べる?」→「どれか(ありますか)」の意味になります。
 someの「いくつか」という意味を疑問文にすると「いくつか(ありますか)?=どれか(ありますか)?」という意味になるので、some「いくつか」の疑問文にするときはanyを用いると言えるのです。

 例 
Do you have any children
    あなたに子供はいますか?

 

someとanyをもとに、something、anything(何か)、someone(somebody)、anyone(anybody誰か)という単語がつくられました。

 

 

【参考】someとanyが使い分けられる場面

映画ライオンキングには、someとanyのイメージの違いを象徴するようなシーンがあります(ネットから引用)。

 

まだ幼い子供の主人公シンバが、目の前に倒れている父を見て、荒野の中で助けを求めるために次の二言を順に叫ぶシーンがあります
 (大声で)"Help me!somebody?"(でもどこからも返事がない)
 (泣きそうになりながらもう一度)"Help me.anybody?"
 最初は周囲に誰かいるかも知れないと言う期待があるのですが、二言目では誰でもいいからいないのという少し絶望的なニュアンスが感じられます。

 

つまり、somebodyでは「何かある」というのが根本のイメージなので、誰かいることを期待しているのがわかります。

 一方、次のanybodyでは「あるかないかはわからない」というイメージから、誰もいないのかも、という気持ちが表れています。


⇒次は、somethingについて
 
形容詞② something + 形容詞の語順になる理由


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自己紹介

kenny

しがないアラサー団体職員。
休みになれば寝てばかり、家事をすればいい加減なズボラ男です。
言葉の理解や記憶の構造に興味があって、大学院まで認知心理学をやっていました。
ご質問については受け付けておりません。