動名詞とは、文字のとおり動詞(する)を名詞(こと)化したものです。
具体的には動詞ingの形で、「~すること」と訳します。
例 I like playing tennis.
私はテニスをすることが好きです。
Running is my hobby.
走ることが私の趣味です。
一方で、日本語で「~すること」と訳すものには、動名詞のほかにto不定詞(to 動詞原形)があります。
いずれも動詞の直後に置くと、「~することを」という意味になり目的語になります。
例 I like to run in the park.
I like running in the park.
私はその公園を走ることが好きです。
(走ることを好いています)
このように、「~することを」というときは、多少のニュアンスに違いはありますが、「動詞+動名詞」でも、「動詞+to不定詞」のどちらでも使えます。
ただし、動詞によっては「動詞+動名詞」でなければいけなかったり、「動詞+to不定詞」でなければいけないものもあります。
例えばenjoyだと、enjoy 動詞ingの形でないといけません。
(○) I enjoyed running in the park.
私はその公園で走ることを楽しみました。
(×) I enjoyed to run in the park.
こうした違いは、その動詞が動名詞のイメージ、to不定詞のイメージと合致するかどうかで出てきます。
例えば、その動詞とto不定詞のイメージが合致する場合は「動詞+to不定詞」の形を取りますし、その動詞とto不定詞のイメージが全く合致しない場合は、「動詞+動名詞」の形しかとれません。
大まかな動詞の使い分けは↓
なぜ、こういう使い分けをするのかの理由は↓
◆to不定詞のイメージ
to不定詞は前置詞to「~へ」がもとになってできたもので、「~へ」という意味が示すように「これからその動作をすることへ向かう!」というのが基本イメージです。
そのため、まだその動作を実現しておらず、「これから実現することへ向かう」というタイプの動詞は、目的語にto不定詞を取ります。・to不定詞のみを目的語とする動詞
表中の動詞は、いずれもまだto以下の動作を実現しておらず、これからその動作をすることへ向かう!という動詞です。
たとえば、want toの「~したい」は、to以下の動作を実現していないので、これからその動作をすることへ向かいたい(=向かう)というイメージです。
◆動名詞のイメージ
動名詞は現在進行形と同じ「動詞 ing」の形であることから、進行形と同じく「まさに~している」が中心のイメージにです。
そのため、「まさに~している」というタイプの動詞は、目的語に動名詞を用います。
・動名詞のみを目的語とする動詞
①「まさに~している」タイプ
例えば、enjoy(楽しむ)やcarry on(し続ける)はまんま「~している姿」を強調される動詞です。
imagineとconsiderは想像するという動詞ですが、人は想像しているときその想像の中で必ず誰かがある動作をしていますよね。だから、想像することを意味するimagineとconsiderは動名詞を取ります。
②「向かわない」タイプ
目的語に動名詞しか取らない動詞には、②「向かわない」タイプの動詞もあります。
これは、動名詞に「向かわない」イメージがあるのではなく、「向かわない」というイメージは、to不定詞の「これから向かう」イメージとは真逆であるため、目的語にto不定詞が使えず、結果として動名詞のみを目的語に取っているからです。
例えば、finish ~ingの「~することを終える」は、終える時点で、これから向かおうという気持ちはありませんし、avoid(避ける)、escape(逃げる)も向かいたくないという消極的な気持ちの動詞です。
●to不定詞と動名詞で意味が対比される動詞
forgetとrememberは、目的語がto不定詞か動名詞かで、意味が異なる動詞です。
to不定詞の場合は、to不定詞が「これからその動作をすることへ向かう!」という未来的なイメージなので、forget to~、remember to~で「『(これから)~すること(未来的)』を忘れる、覚えている」という意味になります。
一方、過去的な「~したこと」は、to不定詞の「これから向かう」とは逆の「終えてもうその方向には向かわない」というイメージなので、目的語にto不定詞を使えず、動名詞をとります。
そのため、forget ~ing、remember ~ingで「『~したこと(過去的)』を忘れる、覚えている」という意味になります。
例 I forgot to buy a present for her.
彼女へのプレゼントを買うことを忘れた。
She forgets kicking me.
彼女は私を蹴ったことを忘れている。
このように、to不定詞と動名詞はそれぞれイメージがあり、そこからそれらを目的語にできる動詞にも違いが出ています。
⇒次は、someとanyの使い分け
形容詞① someとanyを使い分ける理由