「なぜ」で覚える英文法

英文法を「忘れないように覚える」ことを第一に考えたブログです。        受験に必要な文法事項を、丸暗記ではなく「理由を知る→知識がつながる→覚えられる」となるよう解説します。

文型

主語+動詞の語順になる理由


 英語の文章は、大きく主語(S)、動詞(V)、目的語(O:動作の対象となる語)、補語(C:状態を説明する語)の4つの要素から構成されています。

そして、この4つ要素を組み合わせたパターンが文型であり、英語の文章は基本的に5つの文型のどれかに当てはまります

文型1

 文型はいずれも「S+V」の語順です。

 

 主語が最初に来る理由は、その文の主題を最初に示して相手の関心を引き付けるためです。

 続けて、主語の後ろには動詞が置かれますが、これは動詞を主語と目的語の間に挟むことで主語と目的語の区別を付きやすくさせるためです。逆に言うと、主語と目的語が連続して並んでいるとどこまでが主語でどこからが目的語なのかが分かりにくいです↓


文型2

 ちなみに、大昔の英語では「主語+目的語+動詞」の語順も当たり前にありました。
 これは、I(主語)とme(目的語)のように、当時はその単語が主語のときと目的語のときで形が変化していて、簡単に区別がついたからです。

 しかし、その後、主語と目的語で形を変化させることは無くなっていき、現在のように「主語+動詞」の語順に統一されていきました。



 
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使役動詞・知覚動詞の受動態でtoが付く理由(第5文型③)


使役動詞、知覚動詞は受動態になると動詞の原形の前にtoが付きます

 

第五文型15

 

 

◆使役動詞の受動態にtoが付く理由

 使役動詞makeは、かつて「make 目的語 to 動詞の原形」の形をとっていました。
 しかし、いつしかtoが消えてしまったのです。
 一説には、使役動詞のmakeは日常生活でも頻繁に使われる言葉であり、toが無くても意味が通じたからだと言われています。

【参考】なぜmakeにtoが付いていたのかは↓
使役動詞・知覚動詞でtoが付かない理由、getでtoが付く理由

 受動態の場合は、能動態より使われる場面も少ないので、昔のままtoが残ったと考えられます。



◆知覚動詞の
受動態にtoが付く理由

一方、知覚動詞は、昔からtoを付けず「知覚動詞 O 動詞の原形」の形で使われてきました。
 しかし、受動態になるとtoが付きます。

 これは、「toにこんな意味があるから」というわけではなく、toに続く語が動詞であることを表すためです。

She was seen to dress.

(彼女は服を着るところを見られた。)

 

↑では知覚動詞のwas seendressの間にtoが付いています。

もしtoがないとwas seen dress」となりdressが名詞(衣類)なのか動詞(服を着る)なのかわかりづらいです

dressにtoを付けることでdressが動詞であることを明確にしているのです



【参考】have、letが受動態になりにくい理由
使役動詞のmake、have、let、getは下記のとおり使い分けがされます。

使役動詞


なぜこのような使い分けが出てくるは下記のとおりです。

・make
「Oが~する状態を作り上げる(make)」
→「Oに(強制的に)~させる」


・have
「Oが~する状態を持つ(have)」
→「Oが当然の流れとして~する状態を持つ」

→「Oに(当然の役割として)~させる」


・let
「Oが~する状態を許可する(let)」
→「Oに(本人の意思通りに)~させる」

・get
「Oが~する状態を手に入れる(get)」
→「Oに働きかけることで~する状態を手に入れる」
→「Oに(説得して)~させる」


makeは受動態になると強制的に「~させられる」、getは説得されて「~させられる」という意味になり、自然な表現です。
そのため、使役動詞のmakeやgetは受動態にもなります。

一方、haveは受動態になると当然の役割で「~させられる」、letは本人の意思で「~させられる」という意味になり、不自然な表現になってしまいます
そのため、使役動詞のhaveやletは受動態になりくいのです。



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使役動詞・知覚動詞でtoが付かない理由、getでtoが付く理由(第5文型②)

 
◆使役動詞、知覚(知覚・思う系)動詞
 使役動詞・知覚動詞では、目的語の後に「動詞の原形」を置くことができます。
 言い換えると、「to 動詞の原形」にはなりません
 (getだけtoが付きますがこの理由も後で説明します)


第五文型20
 


 一方、下記のような動詞では、動詞の原形の前にtoを付けます。


第五文型21



 このtoが付くか付かないかの違いは↓のような違いがあります。

V O   動詞の原形:Oが~するのをVする
V O to 動詞の原形:Oが~することへ向かうようVする


 
なぜこのような違いがあるのでしょう。
 このtoはto不定詞のtoですが、to不定詞はもともと前置詞のto「~へ(向かう)」からできたもので、「to 動詞の原形」で「~することへ向かう」という意味を表しました。
 そのため、「V O to 動詞の原形」で、「Oを~することへ向かうようVする(説得する、忠告するなど)」という意味になります。
 では、使役動詞には「Oを~することへ向かわせる」というイメージはないのでしょうか。


◆使役動詞でtoが付かない理由

 使役動詞は「Oに~させる」という意味であり、思いっきり「Oにこれからその動作へ向かわせる」というイメージがあります。
 つまり、動詞の原形の前にtoが付いても不思議ではありません


 それでもtoが付かないのは、make、have 、letそれぞれに理由があります。

 

 

・make

 makeの基本的な意味は「作る」です。

 そのため、「make O 動詞の原形」は、「Oが~する状態を作り上げる」→「Oに(強制的に)~させる」という意味になります。

 

例:The coach made the players run.

   コーチは選手たちを走らせた。

 

 また、makeは強制的に「~させる」という意味なので、toの持つ「~することへ向かわせる」という感覚があります。そのため、かつては動詞の原形の前にtoを付けて「make O to 動詞の原形」という使われ方もしていました。
 なぜtoが消えたのかについては、1つにはmakeは日常生活でよく使われる使役動詞だったからだと考えられています。日本語でも頻繁に使われる言葉は略語になるように、makeも頻繁に使われる言葉でありtoがなくても意味は通じるため、あるときからtoは消えてしまったと考えられます。

 

 

・have

haveの基本的な意味は「持つ」です。

 そのため「have O 動詞の原形」は、「Oが~する状態を持つ→当然の流れとしてOが~する状態を持つ」→「Oに(当然の役割として)~させる」という意味になります。

 

例:I had a repairman fix the air-conditioner.

  私は修理人にエアコンを修理させた。

 

 当然の役割としてやらせるので、あえてtoを付けて「~することへ向かわせる」という「Oをある状態へ(to)動かす」イメージがないためtoが付きません。

 

 

・let

 letの基本的な意味は「許可する」です。

 ちなみに、Let’s go.(行こう)のLet’s(~しましょう)は、Let us(私たちに~することを許可してくれ)を省略したものです。

そのため「let O動詞の原形」は、「Oが~するのを許可する」→「Oに(本人の意思通りに)~させる」という意味になります。

 

例:Father  let me drive his car.

  父は私が父の車を運転するのを許してくれた。

 

 haveと同じように、あえてtoを付けて「~することへ向かわせる」という動かすようなイメージがないため、動詞の原形の前にtoが付きません。

 

 

getにtoが付く理由

 getは動詞の原形の前にtoが付くため、文法書によっては使役動詞と扱わないこともありますが、「get O to 動詞の原形」で「Oに~させる」という使役を表します。

 

例:I got him to stop smoking.

  私は彼にタバコをやめさせた。

 

 getの基本的な意味は「手に入れる」です。
 そのため、「get O to 動詞の原形」は「Oに働きかけることで~する状態を手に入れる」→「Oに(説得して)~させる」という意味になります。

 

 getが他の使役動詞と違ってtoを付けるのは、説得して「~することへ向かわせる」という動かすようなイメージがあるからです。
 そして、使役のmakeほど頻繁に使われるわけではないので、toが消えることなく現在に至っています。



◆知覚動詞でtoを使わない理由

 
 知覚動詞は使役動詞と同じように、動詞の原形の前にtoを付けません。


例:I saw the boy fall down.

  私はその男の子が転ぶのを見た。


 
 これは、知覚動詞に「to 動詞の原形」の「~することへ向かう」というイメージがないからです。
 知覚動詞は「Oが~するのを見る」や「Oが~することを思う」という意味であり、そもそも「Oを~することへ向かうようVする」というイメージはありません。


 そもそもなぜ動詞の原形を使うのかは↓

【参考】使役動詞や知覚動詞で動詞の原形を使う理由



⇒次は使役動詞、知覚動詞が受動態になったときに動詞の原形の前にtoが付く理由です。
 使役動詞・知覚動詞の受動態でtoが付く理由

 
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使役動詞や知覚動詞で動詞の原形を使う理由(第5文型①)

  使役動詞や知覚動詞は、動詞の後ろに目的語(O)と補語(C)を付けて第5文型(SVOC)を作ります。


 まずは第5文型を作る動詞の基本事項を説明し、その後でCに動詞の原形を使う理由を説明します。

 

 

◆SVOCを作る動詞

SVOCの第5文型を作れる動詞には、

 ①「SがO=CだとV(知覚・思う)する」

 ②「SがO⇒CになるようVする」

 という共通点があります。

(①のイコール(=)が、②ではイコールにちょっと書き加えた矢印(⇒)になるイメージ)

第五文型1


①「SがO=CだとV(知覚・思う)する」タイプ
 ↓のような知覚したり、思ったりする動詞がこのタイプです。

知覚

第五文型3
※Cには、Oの状態を表すものとして名詞形容詞以外に、現在分詞「~している状態」、過去分詞「~された状態」、動詞の原形「~する状態」が使われます。

第五文型4



②「SがO⇒CになるようVする」タイプ

 OをCそのものにさせたり、OにCをさせるタイプの動詞です。
 ポイントは、右矢印⇒が示すようにOがCの状態に変化する方向性を持っているということです。

 動詞の数が多いので、Cが名詞、形容詞動詞の原形to 動詞の原形になるかで分類しています↓

第五文型13


いったん整理すると↓

第五文型14


◆第5文型の動詞が原形になる理由

 そもそも英文法で動詞を原形で使う場面というのは、①分詞のように「~する状態」を表すとき、②まだ行っていない動作を表すときの2つに分けられます。


第五文型7

 どうしてそのような使われ方がするのかというと、原形とは、現在形の「~する」や過去形「~した」といった動詞そのものの形にはなっていないものです。そのことから、動詞そのものの意味から少し離れた①「~する状態」という分詞(動詞+形容詞)のような意味を表すことがあります。

 また、原形は現在形や過去形のように現在の事実や既に行った事実を表しているわけではないので、②まだ実際には行っていない動作に動詞の原形が使われます。
 例えば、助動詞の後に動詞の原形が来る理由も同じです。may「かもしれない」もmust「しなければいけない」もまだ実際には行っていない行動に使うものです。

 また、to不定詞の後が動詞の原形なのも、もともとは前置詞のtoがまだ行っていない動詞にくっついて「~することへ向かう」という意味を表していたからです。



・知覚動詞で動詞の原形を使う理由

 第5文型の「①SがO=CだとV(知覚・思う)する」でCに動詞の原形を使う理由は、動詞の原形を用いることでCに置かれる現在分詞「~している状態」や過去分詞「~された状態」のように、「~する状態」という意味を表しているからです。つまり、動詞の原形を使うことで「OがCする状態を知覚する」という意味を表しています。

 なお、そもそもCは状態を表すことばなので現在形などの動詞そのものは使えません。

 

・使役動詞で動詞の原形を使う理由

 第5文型の「SがO⇒CになるようVする」を表す使役動詞「OにCさせる」で動詞の原形が使われる理由は、Oに行わせる動作がまだ実際に行っていない動作だからです。使役動詞では、これからその動作を「させる」という意味を表すため、動詞の原形が使われています。

 

 

⇒次回は使役動詞、知覚動詞のCにtoがつかない理由です
 使役動詞、知覚動詞でtoが付かない理由


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do 人 goodが[人に利益を与える]になる理由(第4文型⑤)


◆do 人 物=do 物 to 人

(人に物を与える)

 

 「物」になる名詞はある程度決まってます。

 プラスの意味だとgood(利益)a favor(恩恵)

 マイナスの意味だとharm(害)damage(損傷)



This medicine will do you good.
=This medicine will do good to you.
この薬は君に良い効果を与えるだろう。

 
Too much drinking will do you harm.
=Too much drinking will do harm to you.

酒の飲みすぎは君に害を与える


 

 

●do 人 goodが「人に利益を与える」になる理由

 これは、doに「与える」という意味があるわけではなく、do+名詞の「○○をする」を言い換えた形なんです。

 例えば、do 人 good「人に利益を与える」なら、「人に良いこと(good)をする」を言い換えただけです。

 ほかの名詞も同じです↓

do9


 ただ、それなら「~をする」と訳せばいいじゃないかと思うかもしれません。
 それでも「与える」という意味になるのは、このdoが第4文型の形で使われているからです。
 

どういうことかと言うと、第4文型の「SV人物」を作る大部分の単語は「人に物を所有させるようVする」という意味を表します。

例えば、give人物(人に物を与える)は「人に物を所有させるよう与える」、buy人物(人に物を買う)は「人に物を所有させるよう買う」です。

give24

 doの意味はただ単に「する」です。そのため、doが第4文型の形で使われると、他の動詞のように「人に物を所有させるように〇〇する」という意味ではなく、単に「人に物を所有させる」という意味になります。そこから第4文型で使うdoは「人に物を与える」という意味になります



●「do 物 to 人」に書き換えられる理由

 「do 人 物」は「do 物 to 人」に書き換えられます。

 第4文型(SV人物)では、to人for人に書き換えられる動詞がたくさんありますが、この使い分けはto人が「相手が絶対に必要な動作」for人が「必ずしも相手が必要ない動作=自分のためにも行える動作」です。
 たとえば、give(与える)は、「与える相手」が必要な動作なので、「give人物」を「give物to人」に書き換えられます。

 buy(買う)は「買う相手」が必ずしも必要なく、自分のためにも行える動作なので、「buy人物」を「buy物for人」になります。

 do人物「人に物を与える」も、give(与える)と同じく「与える相手」が必要な動作なので、「do物to人」に書き換えられます



【参考】なぜtoが相手が絶対に必要な動作で、forが必ずしも必要ない動作なのかは↓

 giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由

 


 

★Check★

(1)【日本文に相当する意味になるように語句を並び替えよ】

 サービスが悪いと不平を言ってもあなたにとって何も良いことはないよ。

【中央大】

 Complaining(①any ②about ③won’t ④do ⑤you ⑥poor ⑦service ⑧thegood.


 

(2)【次の2組の英文が同じ意味になるように適語を補え】

There would be no harm in listening to her advice.

It wouldn’t (  )you any harm to listen to her advice.

【中央大】

 ①make

 ②provide

 ③give

 ④do

 

 

 

★Answer★

(1)Complaining about the poor service won’t do you any good.

(2)④

 彼女の忠告を聞いても損はしないよ。



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oweが[借りている][義務・恩義を負っている][おかげである]になる理由(第4文型④)


 oweは一見バラバラの意味があって、しかも意味によって「owe人物」に書き換えられないものもあり、ややこしい単語の一つです。
 今回はoweがなぜこれらの意味をもっているのかと、「owe人物」に書き換えられない意味の理由について説明します。


◆owe

 oweの語源は「持っている」です。

 それに続く「物to人」はこの場合「人につながっている物」という意味を表します。
 owe 物 to 人「人につながった物を持っている」が基本的な意味です。

owe13


 なぜtoで「つながっている」という意味になるのでしょう。
 
 前置詞toの基本的な意味は明確な到達点です。
 そのため、基本的には「~へ」という意味になるのですが、これを絵にすると今いるところと到達点がしっかりとつながっているイメージにもなります。そこから「~とつながっている」という意味になることがあります。
owe12

 
 このように、owe 物 to 人は「人につながった物を持っている」が基本的な意味であり、そこが出発点になって↓の意味を作り出します。
 「人につながった物」が何であるかによって意味が変わります


owe14


 

①「人に物を借りている」になる理由

 

He owes a lot of money to me.

=He owes me a lot of money.

彼は私に多額のお金を借りている。

(「SV人物」に書き換え可能)

 

 物to人の「人につながった物」の一つが「借り物」です。
 なぜなら「借り物」はいつかは貸してくれた人に返す物であり、本来の所有者とつながった物だからです。

 そこから、
owe 物 to 人「人につながった物(借り物)を持っている⇒人に物を借りているとなります。

owe15





 

②「人に義務・恩義を追っている」になる理由

 

 I owe gratitude to him.

=I owe him gratitude.

 私は彼に感謝している。

(「SV人物」に書き換え可能)

 

 
 「義務・恩義」「人とつながった物」です。
 
なぜなら「義務」は「後でその人に何らかの行為をしなければならないこと」という意味でつながった物であり、「恩義」は「後でその人に何らかの恩返しをしたいという気持ちを含むもの」という意味でつながった物だからです。

そこから、owe 物 to 人「人につながった物(義務・恩義)を持っている⇒人に義務・恩義がある」となります。


owe16



 

③「物(成功など)は人のおかけだ」になる理由

 

 I owe my success to him.

×I owe him my success.

 私の成功は彼のおかげだ。

(「SV人物」に書き換え不可

 

 「成功」は自分だけの功績で手に入るときもあるので必ずしも人とつながっている物というわけでありませんが、「成功 to 人」で「人につながった成功」という意味になります。
 
 そこから、owe 物 to 人「人につながった物(成功)を持っている⇒成功は人のおかげとなります。

owe17




●③「成功は人のおかげだ」が「SV人物」に書き換えられない理由
 「SV人物」の第4文型のでは、大部分の単語が「人に物を所有させるようVする」という意味を表します。
 例えば、give人物(人に物を与える)は「人に物を所有させるよう与える」、buy人物(人に物を買う)は「人に物を所有させるよう買う」です。

give24
 一方、owe成功to人「成功などは人のおかげだ」には、「成功を人に所有させる」という意味は含まれていません。成功は人とつながっているだけです。
 そのため、owe成功to人は、owe 人物の形になれないのです。


 逆に、①「人に物を借りている」は「いつか借り物を人に所有させる」という意味ですし、②「人に義務・恩義を負っている」は「いつか人に義務・恩義に基づく行為などを所有させる」という意味なのでowe人物の形を作れます。

 

【参考】第4文型でto人、for人を使い分ける理由
   giveが「to人」で、buyが「for人」になる理由


⇒次はdoの第4文型について
 do 人 goodが[人に良いことを与える]になる理由

 

★Check★

 When Tim was in trouble, it was always his family who gave him the best advice. Thus he feels that he (     ) what he is to his family.

【関西学院大】

 

 ①depends

 ②owes

 ③relies

 ④supports

 


★Answer★

 ②
 ティムが困っているとき、最良の助言を与えてくれたのはいつも彼の家族だった。
そのため、彼は今の自分があるのは、家族のおかげだと思っている。


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save、spareに[取っておく][省かせる]の意味がある理由(第4文型③)


一見、「取っておく」と「省かせる」は真逆の意味のようですが、saveとspareがこの2つの意味を持っているのには理由があります。


◆save


①人に物(物・お金など)を取っておく
He saved me some coffee
.
=He saved some coffee for me.
 彼が私にコーヒーを取っておいてくれた。

 

 

②人に物(手間・労力・出費など)を省かせる
Your help saved me a lot of work.

✖Your help saved a lot of work for me.

君の助けが私に多くの労力を省かせた。


 saveは、「取っておく」という意味です。
 ゲームでもデータをセーブするとか言いますよね。

 そのため、save人物は「①人に物を取っておく」という意味になります。これは言い換えると、「人に物を所有する状態にさせる」ということです。
 そこから、人に物を手元から離させない②人に手間・労力・出費など(=手元からエネルギー、お金が離れていくこと)を省かせる(=エネルギー、お金を離れさせない)」という意味になります。

save5


◆spare


 spareもsaveと基本的には同じです。
 よくスペアキー(予備の鍵)とかいいますが、「スペア=予備の物=余分なもの=取っておいたもの」という意味になります。

そのため、spare人物も「①人に物を取っておく人に物を所有する状態にさせる」→「人に物を手元から離させない②人に物(手間・労力・出費=人のもつエネルギー、お金が手元から離れていくこと)を省かせる(=エネルギー、お金を離れさせない)」という意味になります。


①人に物(時間など)を取っておく

Could you spare me a few minutes?

=Could you spare a few minutes for me?

私に少し時間を割いてくれませんか?

 

②人に物(手間・労力・出費など)を省かせる

I'll spare you a lot of trouble.

✖I'll spare a lot of trouble for you. 

 私はあなたの多くの手間を省くつもりだ。

(私はあなたに多くの手間を省かせるだろう)



●①「人に物を取っておく」が「for人」に書き換えられる理由
 この理由は、第4文型(SV+人+物)を作れる動詞を理解するとわかります。

第4文型(SV+人+物)を作れる動詞は、
 「人に物を所有させるようVする」
 「人が所有する物をVする」
 の2つにわけられます。

save6

 ①「人に物を取っておく」は、「人に物を所有させるよう取っておく」という意味合いなので、「人に物を所有させるようVする」タイプです。
 このタイプの動詞では、物が人のもとに移動するので対象を表すto、forを使って「V物to人」「V物for人」に書き換えることができます

 「相手が絶対に必要な動作」ならto人「相手が必ずしも必要ない動作(自分のためにも行える動作)」ならfor人です。
 例えば、giveは与える相手が必要な動作なのでto人に、buyの買うは自分のためにも行える動作なのでfor人に書き換えられます。

【参考】giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由


①「人に物を取っておく」の「取っておく」という行為は、相手がいなくても自分のために行えるような動作です。そのため、for人の形に書き換えられます



●②人に物(手間・労力・出費など)を省かせるがfor人に書き換えられない理由
 ②「人に物(手間・労力・出費)を省かせる」は、「人が持っているエネルギーや所持金を省かせない」という意味合いなので、「人が所有する物をVする」タイプです。
 このタイプの動詞では、物は既に人が所有していて、改めて人に移動するわけではないので、to、forで物の移動対象を表すことはできません。
 ②「人に物(手間・労力・出費)を省かせる」も、手間・労力・出費がその人のもとに与えられるという意味ではないため、for人やto人に書き換えることができないのです。


⇒次はややこしいoweについて
 oweが[借りている][恩義がある][おかげである]になる理由


★Check★
(1)If I buy a second-hand computer, it will (     ) me hundreds of dollars.
【センター】

 ①add
 ②help
 ③keep
 ④save


(2)Can you (     ) me a few minutes of your time?
【松山大】

 ①show
 ②calculate
 ③spare
 ④watch


 ★Answer★
(1) ④
 もし私が中古パソコンを買ったら、数百ドルの節約になるだろう。
(2) ③
 数分だけ時間をとってもらえますか?



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explain、introduce、suggestが「人+物」の文を作れない理由(第4文型②)


◆第4文型を作れない動詞
 第4文型とは、動詞の後に目的語が二つ続き「SV人物(Sは人に物をVする)」となる文のことです。
 しかし、↓の動詞は、「Sは人に物をVする」という意味にもかかわらず、「SV人物」の第4文型を作れません

give27

 その理由は、これらの動詞が「Ⅴ人物」という文型を持たないラテン語に由来するからです。
 逆に、giveなどの「Ⅴ人物」で表せる動詞は、「Ⅴ人物」の文型をもっているゲルマン語派に由来します。

 

 ラテン語はそもそも決まった文型がなく、単語をどのような語順で並べるかが自由です。
 これは、それぞれの単語自体を変化させて、「~は」「~を」「~に」という意味を持たせるため、変化した単語さえ見れば語順に関係なく意味がわかるからです(例:泉は「fons」、泉を「fontem」、泉に「fonti」)。そのため、単に「V人物」という語順にすれば「人に物をVする」という意味になるわけではありません

このことから、ラテン語に由来するexplainなどの動詞では「V人物」という言い方をせず、「人」にtoを付けて「人に」という意味がはっきりする「V 物to人」という言い方がされてきました


●「for人」ではなく、「to人」になる理由
 第4文型を作る動詞では、give(与える)など相手が必要な動作はto人に書き換えられます
 一方、buy(買う)など、必ずしも相手は必要なく、自分のためにもできるような動作はfor人に書き換えられます

(なぜtoとforでこのような使い分けをするのかは↓)
【参考】giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由

 explain(説明する)、introduce(紹介する)、suggest(提案する)は、いずれも相手が絶対に必要な動作です。相手がいないのに、何かを説明したり、提案することはできないですよね。
 そのため、explainなどの動詞は「to人」に書き換えることができます。


⇒次回からは、意味によって「V 人for物」「V 人to物」に書き換えられたり、逆にどちらにも書き換えられない単語(save、spare、owe)について。
 save、spareに「取っておく」「省かせる」の意味がある理由


★Check★
(1)Would you mind (  ) this copy machine?
【神戸学院大】

 ①explaining me how to use
 ②explaining to me how to use
 ③to explain me about how to use
 ④to explain to me about how to use


(2)【誤りの箇所を指摘し訂正せよ】
 My ①brother-in-law ②suggested me that ③I select French ④for ⑤my foreign language.
【関西学院大】


★Answer★
(1)②
 私にコピー機の使い方を説明してくださいませんか?
(2)②suggested me→suggested to me
 私の義理の兄は、私に外国語はフランス語を選択することを提案した。



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giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由(第4文型①)


 giveやbuyは、動詞の後ろに目的語2つ付けて第4文型(SVOO)を作る動詞です。
 まずは第4文型を作る動詞の共通点について説明します。


◆SVOOを作る動詞

SVOO(主語+動詞+人+物)の第4文型を作れる動詞には、
 ①「人に物を所有させるようVする」
 
②「人が所有する物をVする」
 
という共通点があります。

(①人に物を所有させて、その後で②人が所有する物に働きかけるイメージ。)


give40

 
①「人に物を所有させるようVする」タイプ

たとえば↓の動詞です。

 give人物(人に物を与える)…人に物を所有させるよう与える。
 buy人物(人に物を買う)…人に物を所有させるよう買う。
 show人物(人に物を見せる)…人に見た記憶を所有させるよう見せる。
 teach人物(人に物を教える)…人に知識を所有させるように教える。


give24


そして、①「人に物を所有させるようVする」動詞の共通点は、「Ⅴ物to人」もしくは「Ⅴ物for人」に書き換えられるということです。
 これらの動詞では、「物」の移動先(対象)が「人」となるため、対象を表すtoやforを使ってto人、for人という書き換えができます




・「Ⅴ物to人」タイプ(giveなど)

give10

 「V 物to人」に書き換えられる動詞の共通点は、「相手が絶対に必要な動作」です。

 give(与える)もshow(見せる)もteach(教える)も、いずれも常に相手がいない出来ない動作ですよね。


give29

※deny「与えない」がto人に書き換えられる理由は、not+give「与える」と同じだからだと考えるとよいです。


 

・「Ⅴ物for人」タイプ(buyなど)

give11

 「V 物for人」に書き換えられる動詞の共通点は、「相手が必ずしも必要ない動作」です。

 buy(買う)もmake(作る)もget(手に入れる)も、いずれも相手がいない状態で自分のためにも行える動作です。

give41


 いったん整理すると↓


give37




◆giveはto人、buyはfor人になる理由

(1)toとforの違い
 toは明確な到達点を表します。例えば、go to Londonなら、「ロンドンに行く」で、今いる場所とLondonが直接つながっているイメージです。そこから「~に→~に対して」という直接的な対象の意味に派生しました。

 

一方、forは方向を表します。go for Londonなら、「ロンドンの方向へ行く」で、必ずしもロンドンに行くわけではなく、単にロンドンのある方角に向かって行くイメージです。forも「~の方向へ→~に対して」という対象の意味に派生しましたが、forの「方向」はtoの「到達点」より曖昧な意味なので、toより間接的な対象を表します


give7


(2)give型が「to 人」、buy型が「for 人」になる理由

give型の動詞は「相手が絶対に必要な動作」なので、この動詞を使うときは動作の相手を常に意識しています。そのため、動作の対象を直接的に表すtoを使います。

 

 buy型の動詞は「相手が必ずしも必要ない動作」なので、必要なら動作の相手を付け足す感じです。そのため、buy型の動詞が使われるときは、動作の対象がtoほどには意識されていないため、間接的に対象を表すforを使います。わざわざ動作の相手を示すので、「その人の(利益の)ためにする」という感じが出ます。

 

 

 

②「人が所有する物をVする」タイプ

  「Ⅴ人物」の動詞のうち、「Ⅴ物to人」「Ⅴ物for人」に書き換えられない動詞には、「人が所有する物をVする」という共通点があります。
 これらの動詞では「物」は既に人によって所有されていて、「人」は「物」の移動先(対象)とはならないため、対象を表すtoやforを使ってto人、for人という形に書き換えることができません。

 ただし、こうした動詞はちょっとだけです。

give42


 

cost人物(人に物を消費させる)

 …その人が所有しているお金などを消費させる

 

 This hat cost me $10.

 この帽子は10ドルでした。

 (この帽子は私に所有しているお金のうち10$を消費させた)

 

 One mistake cost him much time.

 一つの過ちが彼に多くの時間をかけさせた。

 (一つの過ちが彼が所有している時間のうちたくさんの時間を消費させた)



charge人物(人に物を請求する)

 …その人が所有している債務(支払わなければならない代金)などを請求する。

 

 The hotel charged him $100 for the room.

 ホテルは彼に部屋代として100ドルを請求した。

 (ホテルは彼に泊まったことにより所有していた100ドルを支払う義務(債務)を請求した)


give31



●SVOOを作る動詞のまとめ

give39



⇒次回は、逆に第4文型を作れない動詞についてです。
 explain、introduce、suggestで第4文型を作れない理由



★Check★

(1)【誤りの箇所を指摘し訂正せよ。誤りがない場合は⑤を選べ】
I'm going ①to cook eggs for breakfast ②to everyone.
Would you like ③yours ④scrambled or fried?
⑤NO ERROR.

【早稲田大】


(2)The accident almost (       ) him his life.
【中央大】

 ① cost
 ② robbed
 ③ lost
 ④ deprived


(3)A hat like this usually costs 2,000 yen, but they only (       ) me 500 yen for it at that store.
【芝浦工業大】

 ① charged
 ② shared
 ③ demanded
 ④ begged




★Answer★
(1) ②to → for
 みんなのために、私が朝食に卵を料理しましょう。スクランブルエッグがいいですか、それとも目玉焼きがいいですか?
(2) ①
 その事故で、彼はもう少しで命を失うところだった。
(3) ①
 こういった帽子はたいてい2000円はするが、あの店ではたった500円だった。


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自己紹介

kenny

しがないアラサー団体職員。
休みになれば寝てばかり、家事をすればいい加減なズボラ男です。
言葉の理解や記憶の構造に興味があって、大学院まで認知心理学をやっていました。
ご質問については受け付けておりません。