「なぜ」で覚える英文法

英文法を「忘れないように覚える」ことを第一に考えたブログです。        受験に必要な文法事項を、丸暗記ではなく「理由を知る→知識がつながる→覚えられる」となるよう解説します。

関係代名詞

関係代名詞で目的格が省略できる理由(関係代名詞③)


◆目的格の省略

  関係代名詞の目的格は、省略することができます。

 

This is the mountain (that) I have climbed.

これは私が登ったことがある山です。

 

 

目的格が省略できる理由
 目的格の場合、先行詞の後ろの文(下線部分)には先行詞を目的語として補充する箇所(△)があります

 This is the mountain (that) I have climbed △.

I have climbedの後ろにthe mountainを目的語として補充できる。


⇒言い換えると、後ろの文(I have climbed)は先行詞 (the mountain)と関係していることが明確です。そのため、目的格がなくても意味が通じるので、省略が可能になります

関係代名詞26



●所有格が省略できない理由

 所有格が省略できない理由は、所有格を省略すると関係代名詞の前と後ろで2つの文章があるように聞こえてしまい、whoseに続く主語の意味を取り違えてしまうからです。


〔関係代名詞あり〕

 I have a friend whose father is a writer.

 私には、父親が作家の友人がいる。


〔関係代名詞なし〕

 I have a friend father is a writer.

 私は友人がいる、父は作家です。←誰の父親?

→関係代名詞がないと、耳だけで聞いた場合は①I have a friend(私は一人友達がいます。)と②father is a writer(父親は作家です。)という2つの文章が並んでいるように聞こえ、②のfatherは、a friend(友人)のfatherではなく、I(私)のfatherのように聞こえます。

  つまり、目的格は省略しても意味が通じますが、所有格は省略すると意味の取り違えが起きてしまうため省略ができません。

 



●主格が省略できない理由

 主格は省略すると意味が変わってしまうため省略ができません。

〔関係代名詞あり〕

 I know a man who has been to London.

 私はロンドンに行ったことがある男性を知っている。


〔関係代名詞なし〕

 I know a man has been to London.

 私はある男性がロンドンに行ったことがあることを知っている。


  

【参考】昔は主格も省略されていた

 18世紀頃までは、関係代名詞の省略が目的格に加えて主格でも頻繁に起こっていました。

 しかし、18世紀の文法家が主格を省略することを非難した結果、主格を省略するというルールは廃れていき、目的格の省略だけがルールとして残りました。


⇒次は熟語と代名詞の語順
 [他動詞+副詞+名詞]と[他動詞+代名詞+副詞]の語順がある理由

 
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関係代名詞にwhoやwhichを使う理由(関係代名詞②)


◆関係代名詞

関係代名詞とは、形容詞のようにある名詞を説明する文法の一つで、形容詞は名詞の直前に1語付けるのに対し、関係代名詞は名詞の直後に文を付けることで、その名詞を説明します。

・形容詞
 blue sky(青い空)
 ↑sky(名詞)を直前のblue(形容詞)が説明。

・関係代名詞
 I'm reading a book which I bought yesterday.
  (私は私が昨日買った本を読んでいます)
 ↑a book(名詞)を直後の関係代名詞(which)以下が説明


 

 

●関係代名詞にwhichが使われる理由

 関係代名詞は、ある名詞の直後に、その名詞を指しているthatを含む文をくっつけたことから始まりました。

関係代名詞1


 【参考】
関係代名詞にthatを使う理由(関係代名詞①)



 その後、関係代名詞はthatの代わりにwhoやwhichも使えるようになりました。
 この理由は、関係代名詞のthatが間接疑問文のwhichなどと混同したからです。

 

 【参考】間接疑問文の基本事項




 関係代名詞のthatと、間接疑問文のwhichは近い意味を作る場合があります↓

 

〔関係代名詞that〕

I know the book that he is reading.

私は彼が読んでいる本を知っている。

 

〔間接疑問文which〕

I know which he is reading.

私は彼がどれを読んでいるか知っている

 

 

その結果、関係代名詞thatと間接疑問文のwhichが混合するようになりました。

 

〔間接疑問文&関係代名詞〕

⇒I know the book which that he is reading.

 

 

 ↑を日本語にすると、「私はその本を知っている、どれかというと(which)、それは(that)彼が読んでいるモノ」です。

ここから、whichの「どれというと」だけでも意味が通じるため、that「それは~」は省略されました

 

〔thatの省略〕

I know the book which he is reading.

 (私は彼が読んでいる本を知っている。)
 

つまり、thatの直前の名詞が人以外の場合は、whichも使えるようになったんです。

(ちなみに、直前の名詞のことを関係代名詞のく名という意味で先行詞といいます。)


I know the book which he is reading.
=I know the book   that  he is reading.


 
●関係代名詞にwho、whoseが使われる理由

thatの代わりにwhichが使われるようになったのと同じ理由で、直前の名詞(先行詞)が人の場合は、thatの代わりにwho「誰が」、whose「誰の」、who(m)「誰を」を使えるようになりました。


〔関係代名詞that〕
 I know the person that ate the cake.
 私はそのケーキを食べた人を知っている。


〔間接疑問文who〕
 I know who ate the cake.
 私は誰がそのケーキを食べたのか知っている。


〔間接疑問文&関係代名詞〕

 I know the person who that ate the cake.
 私はその人を知っている、誰かというと(who)、それは(that)そのケーキを食べた人

〔thatの省略〕
⇒I know the person who ate the cake.
=I know the person that ate the cake.
 私はそのケーキを食べた人を知っている。


 who、whose、who(m)の使い分けは、続く文で先行詞が主語となるならwho、所有格となるならwhose、目的語となるならwho(m)です。

 

 

who=先行詞【人】・続く文で【主語】

 I know the person who ate the cake.

 私はそのケーキを食べた人を知っている。

 

→先行詞the person(人)は、the person ate the cake.として主語になる。


whose=先行詞【人】・続く文で【所有格】

 I have a friend whose nickname is “Pocky”.

 私には「ポッキー」というあだ名の友達がいます。

→先行詞a friend(人)は、a friend’s nickname として所有格になる。




who(m)=先行詞【人】・続く文で【目的語】

 I know the person who(m) he loves.

 私は彼が好きな人を知っている。

 

→先行詞the person(人)は、he loves the person.として目的語になる。


こうした使い分けをまとめてると↓

関係代名詞12


 ちなみに、whichの所有格はwhoseとされていますが、whoseは「誰の~」であり「どれの~」という意味は元々ありません。しかし、先行詞が人の場合はwhoseの所有格が使えるのに、先行詞が人以外の場合には所有格が使えないのでは不便です。

 そこで先行詞が人以外の場合もwhoseが流用されるようになりました。


例 The house whose roof is blue was built ten years ago.

  その屋根が青い家は、10年前に建てられました。


⇒次は目的格が省略できる理由
 関係代名詞で目的格が省略できる理由(関係代名詞③)


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間接疑問文の基本事項


間接疑問文

間接疑問文とは、文中に「疑問詞+S+V~」のまとまりを持った文のことです。

 

例 I don’t know what you want.

私は君が何を欲しているのか知らない。 


 ↑の例では、下線部分が「疑問詞+S+V~」のまとまりです。

 疑問詞を使うということは、あえて「ここは疑問だ」と言っていることになるので、疑問詞を強調するためにまとまりの先頭に疑問詞を置きます。



(1)「疑問詞+S+V」のまとまりの例

なぜ彼女は怒ったのか
why she got angry

いつ彼はここに着いたのか
when he arrived here


↓ただし、疑問詞がwhoの場合は、whoが「疑問視+S+V」の主語(S)の役割と重複するので、「who+V」になります。

誰がそこで歌っているのか
who is singing there



(2)間接疑問文

 文中に上記の「疑問詞+S+V~」のまとまりを含むと、間接疑問文になります。

 

 I don’t know what you want.

 私は君が何を欲しているのか知らない。

 

 Do you know who is singing there.

 君は誰があそこで歌っているのかを知っていますか?

 

 Please tell me why she got angry.

 なぜ彼女が怒ったのかを教えてほしい。

 

 Do you know when he arrived here.

 いつ彼が着いたのか知っていますか?

 



 この間接疑問文は、whoやwhichを使った関係代名詞に発展しました。

⇒次は、whoやwhichの関係代名詞ができた理由を説明します。
 
関係代名詞にwho,whichが使われる理由(関係代名詞②)



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関係代名詞にthatを使う理由(関係代名詞①)


◆関係代名詞
 関係代名詞とは、形容詞のようにある名詞を説明する文法の一つで、形容詞は名詞の直前に1語付けるのに対し、関係代名詞は名詞の直後に文を付けることで、その名詞を説明します。

・形容詞
 blue sky(青い空)
 ↑sky(名詞)を直前のblue(形容詞)が説明。
  
・関係代名詞
 I'm reading a book that I bought yesterday
  (私は私が昨日買った本を読んでいます)
 ↑a book(名詞)を直後の関係代名詞(that)以下が説明

 関係代名詞では、例文のように名詞の直後にthatをつける場合があります。他にもwho、whichなどを付ける場合もあります。ここでは、thatがつけられるようになった経緯を説明し、次回、whoやwhichを付けるようになった理由を説明します。


 

●関係代名詞のはじまり

関係代名詞は、離れたところにいる人やモノを指すthat「あれ、それ」がきっかけとなってできました。

例えば↓のようなときです。


 

I have a book. That is very interesting.
 (私は1冊の本を持っています。
それはとても面白いです。)


 

 ここでのThat「それ」はa bookのことを指しています。
 言い換えれば、1つ目の文末のa bookと、2つ目の文頭のThatは同じ意味の単語が続いていることになります。
 そこから、わざわざ2つの文に分けなくても1つの文としてつなげた方が楽じゃん!という発想が出てきました。


 

関係代名詞1



 このように、名詞を文によって説明する関係代名詞は、名詞にthatを主語とする文章をくっつけたことから始まりました。


 さらに、thatは離れたところの物だけでなくにも使う言葉です。

 例 That(=She) is my mother.
      (あれは私の母です。)


そのため、he「彼」やshe「彼女」という人を指す言葉をthatに置き換えて、thatが指している名詞の直後にくっつけるということも可能です


関係代名詞6




 ちなみに、複数形であるthey「彼ら、彼女ら、それら」の場合もthatに置き換えて文章をくっつけます
 複数形の場合はthatではなくthose(thatの複数形)に置き換えそうなものですが、thatとthoseは語源が異なる別々の単語だったことなどから、複数の人やモノであっても関係代名詞の役割はすべてthatが担っています。

関係代名詞5




●目的語にもなるthat

thatは主語になるだけではなく、目的語になることもあります。

関係代名詞18
 一方、関係代名詞は、that「それ」が指し示す名詞の直後にThatが主語となる文を付けたことから始まったため、その語順は[名詞+that]
です。
 そこから、[名詞+that] という語順は①「名詞」=that(それ)、②「名詞」の直後にはthat(=直前の名詞)を含む文がくっついているということを表す印になりました。

関係代名詞29

 このことから、thatが目的語の文であっても、[名詞+that] という語順にthatの位置を変えれば、「名詞」の直後にthatを含む文がくっついていると表せるようになりました↓

 
関係代名詞31


 このように、関係代名詞とは、ある名詞の直後に、その名詞を指しているthatを含む文をくっつけた文法として始まりました。 
 なぜ関係代名詞というのかというと、直前の名詞と直後のthatが同じ意味であるという点で関係を持っており、そのthatは直前の名詞のわりとなる名詞(代名詞)として続く文で主語や目的語の役割を果たすからです。




【参考】関係代名詞を見たら「補足説明」マークと判断

 理屈としては2つの文をくっつけたのが関係代名詞ですが、読解で関係代名詞を含んだ文を返り読みをせずに読んでいくには、関係代名詞(that)を見た瞬間にこれから直前の名詞を補足説明するんだ!(関係代名詞=補足説明マーク)と認識するといいです。
 たとえば、↓の例文では、直前の名詞である「woman」を、関係代名詞(that)のあとの「宇和島市で生まれた」が補足説明しています。
 


関係代名詞14


 関係代名詞を含む文は、日本語に直しながら読んでいるとどうしても返り読みしなければなりません。
 英語を英語として読むためにも、関係代名詞は補足説明のマークとして捉えることが重要です。



⇒次は、間接疑問文です。
 間接疑問文から、whoやwhichを使った関係代名詞はできました。
 間接疑問文の基本事項
 関係代名詞にwho,whichが使われる理由(関係代名詞②)


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自己紹介

kenny

しがないアラサー団体職員。
休みになれば寝てばかり、家事をすればいい加減なズボラ男です。
言葉の理解や記憶の構造に興味があって、大学院まで認知心理学をやっていました。
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