◆目的格の省略
関係代名詞の目的格は、省略することができます。
This is the mountain (that) I have climbed.
これは私が登ったことがある山です。
●目的格が省略できる理由
目的格の場合、先行詞の後ろの文(↓下線部分)には先行詞を目的語として補充する箇所(△)があります。
This is the mountain (that) I have climbed △.
→I have climbedの後ろにthe mountainを目的語として補充できる。
⇒言い換えると、後ろの文(I have climbed)は先行詞 (the mountain)と関係していることが明確です。そのため、目的格がなくても意味が通じるので、省略が可能になります。
●所有格が省略できない理由
所有格が省略できない理由は、所有格を省略すると関係代名詞の前と後ろで2つの文章があるように聞こえてしまい、whoseに続く主語の意味を取り違えてしまうからです。
〔関係代名詞あり〕
I have a friend whose father is a writer.
私には、父親が作家の友人がいる。
〔関係代名詞なし〕
I have a friend father is a writer.
私は友人がいる、父は作家です。←誰の父親?
→関係代名詞がないと、耳だけで聞いた場合は①I have a friend(私は一人友達がいます。)と②father is a writer(父親は作家です。)という2つの文章が並んでいるように聞こえ、②のfatherは、a friend(友人)のfatherではなく、I(私)のfatherのように聞こえます。
つまり、目的格は省略しても意味が通じますが、所有格は省略すると意味の取り違えが起きてしまうため省略ができません。
●主格が省略できない理由
主格は省略すると意味が変わってしまうため省略ができません。
〔関係代名詞あり〕
I know a man who has been to London.
私はロンドンに行ったことがある男性を知っている。
〔関係代名詞なし〕
I know a man has been to London.
私はある男性がロンドンに行ったことがあることを知っている。
【参考】昔は主格も省略されていた
18世紀頃までは、関係代名詞の省略が目的格に加えて主格でも頻繁に起こっていました。
しかし、18世紀の文法家が主格を省略することを非難した結果、主格を省略するというルールは廃れていき、目的格の省略だけがルールとして残りました。
⇒次は熟語と代名詞の語順
[他動詞+副詞+名詞]と[他動詞+代名詞+副詞]の語順がある理由