一見、「取っておく」と「省かせる」は真逆の意味のようですが、saveとspareがこの2つの意味を持っているのには理由があります。
◆save
①人に物(物・お金など)を取っておく
=He saved me some coffee
.
=He saved some coffee for me.
彼が私にコーヒーを取っておいてくれた。
②人に物(手間・労力・出費など)を省かせる
=Your help saved me a lot of work.
✖Your help saved a lot of work for me.
君の助けが私に多くの労力を省かせた。
saveは、「取っておく」という意味です。
ゲームでもデータをセーブするとか言いますよね。
そのため、save人物は「①人に物を取っておく」という意味になります。これは言い換えると、「人に物を所有する状態にさせる」ということです。
そこから、「人に物を手元から離させない=②人に手間・労力・出費など(=手元からエネルギー、お金が離れていくこと)を省かせる(=エネルギー、お金を離れさせない)」という意味になります。
◆spare
spareもsaveと基本的には同じです。
よくスペアキー(予備の鍵)とかいいますが、「スペア=予備の物=余分なもの=取っておいたもの」という意味になります。
そのため、spare人物も「①人に物を取っておく=人に物を所有する状態にさせる」→「人に物を手元から離させない=②人に物(手間・労力・出費=人のもつエネルギー、お金が手元から離れていくこと)を省かせる(=エネルギー、お金を離れさせない)」という意味になります。
①人に物(時間など)を取っておく
=Could you spare me a few minutes?
=Could you spare a few minutes for me?
私に少し時間を割いてくれませんか?
②人に物(手間・労力・出費など)を省かせる
=I'll spare you a lot of trouble.
✖I'll spare a lot of trouble for you.
私はあなたの多くの手間を省くつもりだ。
(私はあなたに多くの手間を省かせるだろう)
●①「人に物を取っておく」が「for人」に書き換えられる理由
この理由は、第4文型(SV+人+物)を作れる動詞を理解するとわかります。
第4文型(SV+人+物)を作れる動詞は、
「人に物を所有させるようVする」
「人が所有する物をVする」
の2つにわけられます。
①「人に物を取っておく」は、「人に物を所有させるよう取っておく」という意味合いなので、「人に物を所有させるようVする」タイプです。
このタイプの動詞では、物が人のもとに移動するので対象を表すto、forを使って「V物to人」「V物for人」に書き換えることができます。
「相手が絶対に必要な動作」ならto人、「相手が必ずしも必要ない動作(自分のためにも行える動作)」ならfor人です。
例えば、giveは与える相手が必要な動作なのでto人に、buyの買うは自分のためにも行える動作なのでfor人に書き換えられます。
【参考】giveが「to 人」で、buyが「for 人」になる理由
①「人に物を取っておく」の「取っておく」という行為は、相手がいなくても自分のために行えるような動作です。そのため、for人の形に書き換えられます。
●②人に物(手間・労力・出費など)を省かせるがfor人に書き換えられない理由
②「人に物(手間・労力・出費)を省かせる」は、「人が持っているエネルギーや所持金を省かせない」という意味合いなので、「人が所有する物をVする」タイプです。
このタイプの動詞では、物は既に人が所有していて、改めて人に移動するわけではないので、to、forで物の移動対象を表すことはできません。
②「人に物(手間・労力・出費)を省かせる」も、手間・労力・出費がその人のもとに与えられるという意味ではないため、for人やto人に書き換えることができないのです。
⇒次はややこしいoweについて
oweが[借りている][恩義がある][おかげである]になる理由
★Check★
(1)If I buy a second-hand computer, it will ( ) me hundreds of dollars.
【センター】
①add
②help
③keep
④save
(2)Can you ( ) me a few minutes of your time?
【松山大】
①show
②calculate
③spare
④watch
★Answer★
(1) ④
もし私が中古パソコンを買ったら、数百ドルの節約になるだろう。
(2) ③
数分だけ時間をとってもらえますか?