目的語を取る熟語には①「自動詞+前置詞」、②「他動詞+副詞」の2つのタイプがあります。
①「自動詞+前置詞」に目的語を加えると、「自動詞+前置詞+(代)名詞」の語順になります。
これは、そもそも自動詞とは直後に目的語を置けず、前置詞を挟まざるを得ないからです。
●自動詞+前置詞+(代)名詞
He depends on me.
彼は私に依存している。
一方、②「他動詞+副詞」に目的語を加えると、「他動詞+副詞+名詞」もしくは「他動詞+代名詞+副詞」という語順になります。
他動詞は直後に名詞を置けますが、熟語の場合は名詞か代名詞かで語順が変わります。
●他動詞+副詞+名詞
I will never give up the challenge.
私はその挑戦を決して諦めたくない。
●他動詞+代名詞+副詞
I will never give it up.
私はそれを決して諦めたくない。
◆名詞と代名詞で語順が異なる理由
②「他動詞+副詞」の場合に、名詞か代名詞かで語順が変わる理由は、英語の語順は「相手が既に知っている情報(既知情報)→相手がまだ知らない情報(新情報)」になるという原則があり、代名詞は既に出てきた単語を言い換えた言葉=既知情報になるため、なるべく文頭に近い方に持ってきたいという意識が働くからです。
例えば↓のような会話があったとします。
I bought an apple.
私はリンゴを1個買いました。
It was so delicious.
それはとても美味しいでした。
↑の場合、1文目のIは相手に「私」が誰を指しているのかわかりますが、続くbought an appleは相手にとっては初めて知る情報で、「既知情報→新情報」という語順です。2文目もItが1文目のan appleを指していて相手が既に知っている情報からスタートしますが、so deliciousは相手が初めて知る情報なので「既知情報→新情報」という語順です。
このように、英語の語順は「既知情報→新情報」になるようできています。
そして、代名詞とは、既に出てきた単語を言い換えたものです。例文だと、2文目のItは、1文目のan appleを言い換えたものであり、すべての代名詞は既知情報を言い換えた言葉だと言えます。
そのため、「他動詞+副詞」の場合、既知情報である代名詞は文頭に近い方に置きたいという意識が働くため、「他動詞+代名詞+副詞」の語順なります。
⇒次はテストに出る自動詞と他動詞
注意が必要な自動詞・他動詞とその理由