◆be 過去分詞 by 人:人に~される

例 Hiroko is liked by everyone.

 ヒロコはみんなに好かれている。

 

 

●be 過去分詞が受動態になる理由

 be動詞の本来の意味は「存在する」です。

 例えば、シェイクスピアの『ハムレット』の"To be, or not to be."「生きるべきか、死ぬべきか」は「存在するべきか、存在しないべきか」を意訳したものです。

  ちなみに、beが「イコール」を意味するとも言われる理由は、「主語 be ~」を「主語は~な状態で存在する」と訳さなくても、主語は存在するのが当たり前なので、「主語は~な状態だ(主語=~な状態)」と訳すからです。


 一方、過去分詞は、過去形(~した)と形容詞(~な状態)をかち持つであり、日本語にすると「~した状態(完了)」もしくは「~された状態(受身)」です。

過去分詞


 これを組み合わせた「be 過去分詞」は、現在では受身の意味だけですが、もともとは①(一部の自動詞※に限り)「~し終えた状態で存在する(完了)」、②「~された状態で存在する(受動態)」の2つの意味を持っていました。

 しかし、①「~し終えた状態(完了)」の意味は、ほとんどの動詞では「have 過去分詞」で表されており、完了は全てhave 過去分詞、受身はbe 過去分詞としたほうが意味が明確になるため、18世紀に入るころには「be 過去分詞」の完了の意味は「have 過去分詞」に吸収されました。
 その結果、
「be 過去分詞」には受身の意味だけが残りました。

 

 受動態8

※一部の動詞とは、変移動詞と呼ばれるもので、具体的には化(grow)、動(go、come)などを表す自動詞のことです。

その名残として、↓のような文では、be 過去分詞なのに完了を意味します。

 

例 She is gone.(彼女は行ってしまった)



●have過去分詞に受身の意味がない理由

 「be 過去分詞」に完了と受身の意味があったことを思うと、なぜ「have 過去分詞」には受身の意味がないのでしょうか。


 例 I have finished my homework.
   私は宿題を終えました。

 

 実は、今の現在完了「have 過去分詞」は、もともと「have 目的語 過去分詞」という形であり、その形では①完了と②受身の意味がありました。


受動態9

 ①完了:Sが[目的語を~した状態(完了)]を持っている
 例 I have my homework finished.
          目的語   過去分詞

    私は宿題を終えた状態を持っている。
  =私は宿題を終えている。
   (宿題を終えたのは私(主語Ⅰ))


 ②受身:Sが[目的語が~された状態(受身)]を持っている

 例 I have my room cleaned everyday.
       目的語   過去分詞

        私は毎日部屋が掃除された状態を持っている。
  =私は毎日部屋を掃除してもらっている。
   (掃除をするのは私(主語Ⅰ)以外の誰か)


 このうち①完了は、主語が「~した状態」になるよう行為を行っています。つまり、主語にとっての動詞は、haveと過去分詞の動作です。そのため、過去分詞は、目的語の後ではなく、より動詞の位置に近づくようhaveの直後に置かれるようになりました

現在完了15


 一方、②受身は、「~された状態」にするのが主語以外なので、過去分詞はそのまま目的語の後ろに置かれる状態で残りました。

これは、現在でも使役のhaveとして残っています

 

have 目的語 過去分詞

 =目的語が~された状態を手に入れる

 

 ①使役:目的語を~してもらう

  例 I had my room cleaned.

    私は部屋を掃除してもらった。

 

 ②被害:目的語が~される

  例 I had my money stolen.

        私はお金を盗まれた。

受動態12


◆まとめ
 このように、過去分詞は受身と完了の意味を持っており、かつてはbeとの組み合わせでも、haveとの組み合わせでもそれぞれ受身と完了の意味を持っていました。
 しかし、時代を下るにつれて、「be 過去分詞」は受動態、「have 過去分詞」は現在完了という棲み分けがされるようになりました。

受動態10


⇒次はby「~によって」
 byが[~によって]になる理由(受動態②)


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