使役動詞、知覚動詞は受動態になると動詞の原形の前にtoが付きます。
◆使役動詞の受動態にtoが付く理由
使役動詞makeは、かつて「make 目的語 to 動詞の原形」の形をとっていました。
しかし、いつしかtoが消えてしまったのです。
一説には、使役動詞のmakeは日常生活でも頻繁に使われる言葉であり、toが無くても意味が通じたからだと言われています。
【参考】なぜmakeにtoが付いていたのかは↓
使役動詞・知覚動詞でtoが付かない理由、getでtoが付く理由
受動態の場合は、能動態より使われる場面も少ないので、昔のままtoが残ったと考えられます。
◆知覚動詞の受動態にtoが付く理由
一方、知覚動詞は、昔からtoを付けず「知覚動詞 O 動詞の原形」の形で使われてきました。
しかし、受動態になるとtoが付きます。
これは、「toにこんな意味があるから」というわけではなく、toに続く語が動詞であることを表すためです。
She was seen to dress.
(彼女は服を着るところを見られた。)
↑では知覚動詞のwas seenとdressの間にtoが付いています。
もしtoがないと「was seen dress」となりdressが名詞(衣類)なのか動詞(服を着る)なのかわかりづらいです。
dressにtoを付けることでdressが動詞であることを明確にしているのです。
【参考】have、letが受動態になりにくい理由
使役動詞のmake、have、let、getは下記のとおり使い分けがされます。
なぜこのような使い分けが出てくるは下記のとおりです。
・make
「Oが~する状態を作り上げる(make)」
→「Oに(強制的に)~させる」
・have
「Oが~する状態を持つ(have)」
→「Oが当然の流れとして~する状態を持つ」
→「Oに(当然の役割として)~させる」
・let
「Oが~する状態を許可する(let)」
→「Oに(本人の意思通りに)~させる」
・get
「Oが~する状態を手に入れる(get)」
→「Oに働きかけることで~する状態を手に入れる」
→「Oに(説得して)~させる」
makeは受動態になると強制的に「~させられる」、getは説得されて「~させられる」という意味になり、自然な表現です。
そのため、使役動詞のmakeやgetは受動態にもなります。
一方、haveは受動態になると当然の役割で「~させられる」、letは本人の意思で「~させられる」という意味になり、不自然な表現になってしまいます。
そのため、使役動詞のhaveやletは受動態になりくいのです。